玖珠郡九重町 薔薇家

薔薇家 時松 真寿代氏
大分県玖珠郡九重町。
1700m級の山々がそびえ立つ、くじゅう連山に位置し、標高と気温が東北と同じくらい、九州の軽井沢とも言われる九重です。九重では、肉用牛、椎茸、米を中心に花、酪農、ブルーベリー、高原野菜が作られています。大概の専業農家には後継者がいるそうで、観光と農業の町として、町民たちの力が一体となっています。そんな九重の標高800mを超える飯田高原で薔薇作りをする時松真寿代さんは、九重で生まれ育ち、薔薇作りをされています。すっとした容姿同様に、薔薇作りにも九重にもまっすぐな思いを持つ時松さんに、九重の魅力を教えていただきました。
くじゅう連山に囲まれて、谷あいと谷あいに集落があります。どこを見ても景色がいいところが九重の自慢です。
- 春
- 春から夏にかけて、九重は新緑にあふれます。どこを眺めても緑でいっぱいですが、九酔渓の緑は格別にすごい!
- 夏
- 夏は、龍門の滝で水遊び。山登りやキャンプもいいですね。
- 秋
- 秋は紅葉。見渡す限り山々が紅葉して美しいが、九酔渓と、夢大吊橋からの紅葉は美しいです。
- 冬
- 冬は、樹氷。木に氷が付いてキラキラと白銀の世界が広がります。
子供の頃の九重
時松さんが小さい頃は、川で泳ぐのは当たり前。プールなんてなかったそうです。「深いところもあり、流されて近所のお兄さんに助けられたこともあったんですよ」と思い出話。
テレビはあったものの、情報も今ほど入ってこないので、小さい頃は、自然の中で遊ぶのが普通でした。大人になって初めて、そういった環境の中で育った良さが分かるんですよね。
九重は、時間の流れとともに姿を変えていっています。道路が変わり、周りは農家だったのが、お店をするところが増え、逆に定期便が減って、学校は統合になりました。冬の九重といえば、雪に閉ざされ、1mくらい積もった雪で「かまくら」作りをして遊んでいたそう。今でも雪は積もりますが、30~50㎝積もったら大雪なんだそうです。九重では近年、夏に30度を越す日があります。そんな事は考えられなかったと、時松さんは振り返ります。
九重での薔薇作り
九重で育った薔薇は、色が鮮やかで、水あげがいいのが特徴です。時松さんは、800mから1000mの標高の高い場所で花作りをしています。
九重というところは、温泉もたくさん沸いています。時松さんが薔薇を育てている田野地区のすぐ近くにも、湯坪温泉という温泉があり、温泉熱を利用して、ハウスでアーチング栽培という方法で薔薇を育てていらっしゃいます。
時松さんが花作りをするようになったのは、お嫁に来てから。地元では最初に花作りを始めた農家で、以前はお父様の代より菊、カーネーション、シクラメン、胡蝶蘭なども作られていたそうです。今は薔薇のみを栽培されています。
最初は、農家ということに抵抗がありましたと言う時松さんですが、他の農産物を扱うよりは、楽だから!と勧められて始められたそうです。花は生きもので、365日目が離せないですね。薔薇の栽培は、農閑期がなく1年中離れるわけにはいきません。病気も無く、元気に咲いている花を見ると励みになるし、病気が入って生育が悪かったりすると落ち込む。薔薇作りは、手をかけたほど綺麗で良い花が咲くので楽しくて好きです。
薔薇家
時松さんは、薔薇生産者でもあり、母親でもあります。お子様が小さい頃は、お姑さんやひいおばぁちゃんに見てもらって、時松さんは薔薇作りに専念されていたそうです。「農家とは言っても、家にいるようで子供たちとゆっくりする時間はあまりなかったかなぁ」とお子様が小さい頃を振り返られていました。「子供はほっといても育つけれど、薔薇はそうはいかない。」と、薔薇作り一筋なご様子が伺えます。とはいっても、すぐそばにおじいちゃんやおばあちゃんがいるからこそ安心して専念できたのでしょうね。「花作り以外に何かしたいなぁ」という思いがずっとあったそうです。実家の畑が道路沿いにあり、家族の理解もあって、喫茶と雑貨のお店「薔薇家」が誕生しました。これが子育てもひと段落したころ。
薔薇は、咲かせっぱなしにしておくと病気になったりするので、定期的に摘みます。出荷できない花とともに、花を何かに利用できないかと、「薔薇風呂」を思いついたそうです。
今まで、薔薇作りだけをしていたけれど、「薔薇家」を始めてからたくさん変わったことがあります。それは、直接時松さんの薔薇の花を求めてきてくださる方や、九重を好きで訪れられた方との交流の場が出来たことです。小さいながらも、九重で薔薇を作って、その薔薇で喜んでもらい、九重をたくさんの人に知ってもらうことは、花を作っているだけじゃ広がらなかった。薔薇家という店舗をもって、そこが窓口となり広がっていっています。
薔薇作りをしながら、お店も運営していく。なかなか大変なことだと思います。薔薇の加工品を作ったり、やりたい構想はたくさんありますが、徐々に広げてい<き、薔薇の花を作っているだけでなく、薔薇に関連したことをこれから先もずっと続けていきたいとお話いただきました。
町から出て行った若者でも、地元に戻ってくる人も多いようです。九重の魅力とともに、そこに生きる人たちにも魅力があるからだと思います。「挫折しながら迷いながら、やっていきたいですね」とおっしゃる時松さんは、ふるさと九重で薔薇を一心に作り、これからも九重を大切に守っていくことでしょう。




















