麻生炭焼工房の仙人炭

山本店長
大分県宇佐市麻生。宇佐市は大分県の県北に位置し、古くからある寺院や鏝絵、石橋など歴史遺産が多く残されている地域です。麻生には緑豊かな山の中に剥き出しの「仙人岩」という巨大な岩がそびえ立ち、岩肌が作り出す自然の中で「仙人炭」が誕生しました。
めーどいんUSA。
「終戦直後からある炭工房やけんわしらが守っていくんや。」という、麻生炭焼工房の代表者谷口守夫さん。
ここの炭焼き工房は終戦直後に作られ近代文明の導入によって一時は廃れたものの、13年前にまた復活しました。谷口さんを始めとするここの炭焼き職人達は農業が本業。趣味程度で始まった炭焼きも3年程前から本格的に行われるようになり、今では地元の祭りにも出展するのだとか。
代表の谷口守夫さんは「仙人米」という米の生産者で、なんと「おいしい米づくり日本一大会」で優勝するほどの凄腕の持ち主です。お米に愛情を注ぐのはもちろん、備長炭作りにも丹精こめて作られているのは言うまでもありません。
コンセプトは「宇佐のものは原材料から全て宇佐で作られているものにしよう。宇佐の新しい特産物にしよう。宇佐の匂いや文化を残そう。楽しく作っていこう。良い物を作ろう。」炭焼き工房の場所は大分県の宇佐市から耶馬溪方面へ車で10分程走らせたところにあります。広葉樹林が高く聳え立つ山と夏には蛍が飛び交う美しい川に囲まれた小さな村です。原木はすべて麻生地区の樫や椎などの広葉樹林を使用し、とても良い木を自分たちで選んでいるため、どこにも劣らない質の良い炭ができるといいます。
大切なのは地産地消。歴史ある宇佐市で、今、始動したばかりです。
手間暇をかけすぎてます
原木を探し、炭を焼き、炭を洗い、箱に詰める作業まで全て手作業。機械化された現代では考えられません。店に売っている格安の炭はほとんど輸入物に対し、ここの炭は国産はもちろんの事、原木を探す作業から自分たちでやっていることには驚きます。特に原木である樫の木は重たく、集めるのも一苦労だと谷口さんは言います。
そして原木を焼き釜に入れて点火する作業へ。着火後なんと3時間おきに様子をみないと納得のいく備長炭ができあがらないそうです。この作業が5日間続くというのだから、こだわりをもって作られているのがわかります。取材の日はちょうど着火日でした。
ここの焼釜は一回で80kgの備長炭が出来上がりますが、他の炭工房より生産量がはるかに少なく、少ない生産量だからこそ極上の炭を自信もって作る事ができます。
「良い物を少しだけ…。」まさに時代に沿った一品です。
炭が焼きあがったら、次は炭を洗う作業にかかります。炭を乾かすのに1週間もかかるそうです。完全に乾いてやっと素晴らしい炭が出来上がるのです。
正真正銘の備長炭
備長炭は仕上げの作業で白炭と黒炭に分類され、ここは白炭を生産しています。黒炭は比較的柔らかく、火持ちは良くないのに対し、白炭は硬く、火持ちが良くその上ガスもほとんどでないのが特徴です。谷口さんの炭はガス抜きをあらかじめしているのでガスが発生せず、煙も出ません。実際、取材に伺った時も煙が出てなく、4時間ずっと火が着いたままでした。叩いた時もカーンと透き通った金属音がし、良質な炭を顕しています。
白炭は燃焼時間が長く、火力が均一して持続するため高級料亭で主に使われますが、炭にミクロン単位の穴が無数にあり、多量のミネラルと遠赤外線を多く放射する事から、健康志向の現代人に人気が沸いてきています。備長炭は応用が利くので、ますます注目を浴びるでしょう。
上質な原木から丹念に仕上げられた麻生の備長炭はまさに仙人が残した文化財といえます。
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